「警告・禁忌を含む注意事項等情報」等については電子添文をご参照ください。

国際共同第Ⅲ相試験 ALPHA試験(ALXN2040-PNH-301試験):
ラブリズマブ又はエクリズマブが投与されており血管外溶血が認められるPNH患者を対象とした国際共同ランダム化二重盲検プラセボ対照試験:検証的試験

社内資料:ラブリズマブ又はエクリズマブが投与されており血管外溶血が認められるPNH患者を対象とした国際共同第Ⅲ相試験(ALXN2040-PNH-301)(承認時評価資料)
Lee JW, et al. Lancet Haematol. 2023; 10: e955-965.
[利益相反:本試験はAlexion Pharmaceuticals, Inc.の支援によって実施された。
著者にAlexion Pharmaceuticals, Inc.の社員が含まれる。
著者にAlexion Pharmaceuticals, Inc.より謝礼金、顧問料、研究助成費等を受領している者が含まれる。]

※用法及び用量に一部承認外の成績が含まれるデータがありますが、承認時に評価された資料であるためご紹介します。

試験概要

目的

[主要目的]

C5阻害薬に追加投与したときの投与12週時点でのボイデヤ®の有効性を、プラセボと比較検討する。

[主な副次目的]
  • C5阻害薬に追加投与したときの投与12週時点でのボイデヤ®の有効性を、輸血なしでのHb濃度の変化量を指標としてプラセボと比較検討する。
  • C5阻害薬に追加投与したときの投与12週時点でのボイデヤ®の有効性を、輸血回避を指標としてプラセボと比較評価する。
  • C5阻害薬に追加投与したときの投与12週時点でのボイデヤ®の有効性を、FACIT-Fatigueスコアを指標としてプラセボと比較検討する。
  • C5阻害薬に追加投与したときのボイデヤ®の有効性を、網状赤血球数を指標としてプラセボと比較検討する。

対象

ラブリズマブ又はエクリズマブが投与されており血管外溶血が認められるPNH患者:目標登録例数84例

試験デザイン

試験デザイン

ボイデヤ®の開始用量は150mg 1日3回とし、投与6、12、18週時点、延長投与期の任意の時点で、200mg 1日3回まで増量可とした。

※二重盲検期の開始用量は3例で100mg 1日3回(治験実施計画書の改訂第4版発行時点で全症例150mg 1日3回に変更)、54例で150mg 1日3回であり、このうち14例が200mg 1日3回まで増量した。

6. 用法及び用量
通常、成人には、補体(C5)阻害剤との併用において、ダニコパンとして1回150mgを1日3回食後に経口投与する。なお、効果不十分な場合には、1回200mgまで増量することができる。

主要評価項目

投与12週時点のHb濃度のベースラインからの変化量(検証的な解析項目)

主な
副次評価項目

  • 投与12週時点のHb濃度が輸血なしで2g/dL以上増加した患者の割合
  • 投与開始から12週間、輸血回避できた患者の割合
  • 投与12週時点のFACIT-Fatigueスコアのベースラインからの変化量
  • 投与12週時点の網状赤血球絶対数のベースラインからの変化量

その他の
副次評価項目

  • 投与12週時点の乳酸脱水素酵素(LDH)値のベースラインからの変化量

解析計画

有効性の主要評価項目である「投与12週時点のHb濃度のベースラインからの変化量」及び主な副次評価項目の「投与12週時点のFACIT-Fatigueスコアのベースラインからの変化量」、「投与12週時点の網状赤血球絶対数のベースラインからの変化量」、その他の副次評価項目の「投与12週時点のLDH値のベースラインからの変化量」のボイデヤ®群とプラセボ群の比較では、混合効果モデルによる反復測定解析法(MMRM法)を用いて解析した。
主な副次評価項目の「投与12週時点のHb濃度が輸血なしで2g/dL以上増加した患者の割合」及び「投与開始から12週間、輸血回避できた患者の割合」は、Cochran-Mantel-Haenszel(CMH検定)を用いて解析した。
主要評価項目で統計学的な有意差(両側有意水準0.05)が認められた場合、4つの主な副次評価項目を階層的に閉手順で検定することとした。
目標登録患者数84例の約75%(63例)が二重盲検期(12週間)を終了(完了又は中止)した時点で中間解析を行い、有効性による治験の早期中止を評価した。
すべての評価項目について延長投与期も評価を行い、観察時点ごとの推移についても評価を行った。また、変化量に加え実測値に関しても評価を行った。
注目すべき副作用として、髄膜炎菌感染症と肝酵素上昇について、複数の基本語を統合した上で発現状況を収集した。

二重盲検期(投与12週時点)の結果

有効性

投与12週時点のHb濃度のベースラインからの変化量(主要評価項目、検証的解析結果)

「投与12週時点のHb濃度のベースラインからの変化量」の最小二乗平均値(SE)は、ボイデヤ®群で2.940(0.2107)g/dL、 プラセボ群で0.496(0.3128)g/dL、群間差(SE)は2.444(0.3751)g/dLであり、ボイデヤ®群のプラセボ群に対する優越性が検証され(p<0.0001)、かつボイデヤ®群において臨床的に重要な増加(2g/dL以上の増加)が認められました。

● 投与12週時点のHb濃度のベースラインからの変化量(Interim Efficacy Analysis Set)(主要評価項目、検証的解析結果)
投与12週時点のHb濃度のベースラインからの変化量(Interim Efficacy Analysis Set)
投与12週時点のHb濃度のベースラインからの変化量(Interim Efficacy Analysis Set)

※ 投与群、来院時期、来院時期と投与群の交互作用をカテゴリカル変数の固定効果とし、ベースラインのHb濃度、輸血歴を連続変数の共変量としたMMRM法

● 投与12週時点までのHb濃度のベースラインからの変化量の推移(Interim Efficacy Analysis Set)
投与12週までのHb濃度のベースラインからの変化量の推移(Interim Efficacy Analysis Set)

投与12週時点のHb濃度が輸血なしで2g/dL以上増加した患者の割合(主な副次評価項目)

「投与12週時点のHb濃度が輸血なしで2g/dL以上増加した患者の割合」は、ボイデヤ®群で59.5%(25/42例)、プラセボ群で0%(0/21例)、群間差(95%CI)は46.9%(29.16-64.68)であり、ボイデヤ®群はプラセボ群と比較して、有意に高い結果でした(p<0.0001)。

● 投与12週時点のHb濃度が輸血なしで2g/dL以上増加した患者の割合(Interim Efficacy Analysis Set)
投与12週時点のHb濃度が輸血なしで2g/dL以上増加した患者の割合(Interim Efficacy Analysis Set)
投与12週時点のHb濃度が輸血なしで2g/dL以上増加した患者の割合(Interim Efficacy Analysis Set)

※ スクリーニング時点のHb濃度、輸血歴の層別因子で調整したCMH検定

投与開始から12週間、輸血回避できた患者の割合※1(主な副次評価項目)

※1:「治験薬の投与開始から投与12週時点まで、治験実施計画書に規定した輸血を必要としなかった患者の割合」と定義した。なお、投与12週時点までに治験薬の投与を中止した患者は、本評価項目を達成しなかったとみなした。

「投与開始から12週間、輸血回避できた患者の割合」は、ボイデヤ®群で83.3%(35/42例)、プラセボ群で38.1%(8/21例)、群間差(95%CI)は41.7%(22.67-60.77)であり、ボイデヤ®群はプラセボ群と比較して、有意に高い結果でした(p=0.0004※2)。

● 投与開始から12週間、輸血回避できた患者の割合(Interim Efficacy Analysis Set)
投与開始から12週間、輸血回避できた患者の割合(Interim Efficacy Analysis Set)
投与開始から12週間、輸血回避できた患者の割合(Interim Efficacy Analysis Set)

※2 スクリーニング時点のHb濃度、輸血歴の層別因子で調整したCMH検定

投与12週時点のFACIT-Fatigueスコアのベースラインからの変化量(主な副次評価項目)

「投与12週時点のFACIT-Fatigueスコアのベースラインからの変化量」の最小二乗平均値(SE)は、ボイデヤ®群で7.97(1.128)、プラセボ群で1.85(1.581)、群間差(SE)は6.12(1.894)であり、ボイデヤ®群はプラセボ群と比較して、有意に高い結果でした(p=0.0021)。

参考:FACIT-Fatigueスコアとは、患者報告による疲労と疲労が日常の活動や機能に及ぼす影響を評価する尺度であり、スコアは0~52で評価します。

Montan I, et al. Value Health. 2018; 21: 1313-1321.

● 投与12週時点のFACIT-Fatigueスコアのベースラインからの変化量(Interim Efficacy Analysis Set)(主な副次評価項目)
投与12週時点のFACIT-Fatigueスコアのベースラインからの変化量(Interim Efficacy Analysis Set)
投与12週時点のFACIT-Fatigueスコアのベースラインからの変化量(Interim Efficacy Analysis Set)

※ 投与群、来院時期、来院時期と投与群の交互作用をカテゴリカル変数の固定効果とし、ベースライン値、スクリーニング時点のHb濃度、輸血歴を連続変数の共変量としたMMRM法

● 投与12週時点までのFACIT-Fatigueスコアのベースラインからの変化量の推移(Interim Efficacy Analysis Set)
投与12週時点までのFACIT-Fatigueスコアのベースラインからの変化量の推移(Interim Efficacy Analysis Set)

投与12週時点の網状赤血球絶対数のベースラインからの変化量(主な副次評価項目)

「投与12週時点の網状赤血球絶対数のベースラインからの変化量」の最小二乗平均値(SE)は、ボイデヤ®群で−83.8(8.93)×109/L、プラセボ群で3.5(12.68)×109/L、群間差(SE)は−87.2(15.25)×109/Lであり、ボイデヤ®群はプラセボ群と比較して、有意に低い結果でした(p<0.0001)。

● 投与12週時点の網状赤血球絶対数のベースラインからの変化量(Interim Efficacy Analysis Set)(主な副次評価項目)
投与12週時点の網状赤血球絶対数のベースラインからの変化量(Interim Efficacy Analysis Set)
投与12週時点の網状赤血球絶対数のベースラインからの変化量(Interim Efficacy Analysis Set)

※ 投与群、来院時期、来院時期と投与群の交互作用をカテゴリカル変数の固定効果とし、ベースライン値、スクリーニング時点のHb濃度、輸血歴を連続変数の共変量としたMMRM法

● 投与12週時点までの網状赤血球絶対数のベースラインからの変化量の推移(Interim Efficacy Analysis Set)
投与12週時点までの網状赤血球絶対数のベースラインからの変化量の推移(Interim Efficacy Analysis Set)

投与12週時点のLDH値のベースラインからの変化量(その他の副次評価項目)

「投与12週時点のLDH値のベースラインからの変化量」の最小二乗平均値(SE)は、ボイデヤ®群で−23.49(8.287)U/L、プラセボ群で−2.92(11.914)U/L、群間差(SE)は−20.57(14.332)U/Lでした(p=0.1569、名目上のp値)。

● 投与12週時点のLDH値のベースラインからの変化量(Interim Efficacy Analysis Set)
投与12週時点のLDH値のベースラインからの変化量(その他の副次評価項目)
投与12週時点のLDH値のベースラインからの変化量(その他の副次評価項目)

安全性

副作用発現率は、ボイデヤ®群で21.1%(12/57例)、プラセボ群で27.6%(8/29例)でした。各群で2例以上に認められた副作用は、ボイデヤ®群で悪心7.0%(4/57例)、発熱、アラニンアミノトランスフェラーゼ増加、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ増加、頭痛が各3.5%(2/57例)、プラセボ群で悪心、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ増加が各6.9%(2/29例)でした。
重篤な副作用は、ボイデヤ®群で1例(血中ビリルビン増加及び膵炎を発現した1例)に認められ、プラセボ群では認められませんでした。
投与中止に至った副作用は、ボイデヤ®群で3例(肝酵素上昇1例、アラニンアミノトランスフェラーゼ増加及びアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ増加を発現した1例、血中ビリルビン増加及び膵炎を発現した1例)、プラセボ群で1例(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ増加)に認められました。
死亡に至った副作用は認められませんでした。
注目すべき副作用である髄膜炎菌感染症は認められませんでした。また、同じく注目すべき副作用である肝酵素上昇は、ボイデヤ®群で5例(アラニンアミノトランスフェラーゼ増加及びアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ増加を発現した2例、肝機能異常、肝酵素上昇、血中ビリルビン増加が各1例)、プラセボ群で2例(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ増加2例)に認められました。

● 各群で2例以上に認められた副作用の発現例数(二重盲検期、Interim Safety Analysis Set)
ボイデヤ®群(n=57)プラセボ群(n=29)
全副作用の発現例数(%)12(21.1)8(27.6)
悪心4(7.0)2(6.9)
発熱2(3.5)0
アラニンアミノトランスフェラーゼ増加2(3.5)0
アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ増加2(3.5)2(6.9)
頭痛2(3.5)0

発現例数(%)
MedDRA/J version 25.1
(データカットオフ:2023年3月31日)